今回参考にした本
「思考の整理学」外山 滋比古 (著)
こんにちは!
今回から、
外山滋比古さんの思考の整理学
について、
備忘録も兼ねて要約をしていきたいと思います。
章ごとの重要な点について感想と共に記入をしていきます。
グライダー
今の社会では、学校信仰とも言うべきものをもつ、
勉強したいと思うと学校に行くことを考えるようなものがある。
しかし学校では教科書と先生に引っ張られ、勉強をするようになる。
これはグライダーのようなもので、
グライダーは自力で飛ぶことができず、学校はグライダー人間の訓練所である。
勝手に飛び上がったりするのは規則違反でたちまちチェックされる。
そのため卒業間近の論文では、自由なテーマに対して途方に暮れる。
成績の良い生徒ほどこの論文にてこずるように、
人間のグライダー能力と飛行機能力は別物である。
前者が受動的に知識を得ることで、後者が物事を発明、発見すること。
新しい文化の想像には飛行機能力が不可欠であり、グライダーにエンジンを搭載するにはどうしたら良いのか、それを考える必要がある。
この本では、コンピュータという飛び抜けて優秀なグライダー能力の持ち主が現れたことを受けて、グライダー兼飛行機のような人間となるには、どのような心がけが必要かを考える。
不幸な逆説
以前の熱心な学習者を迎えた教育機関、塾や道場では、物事をすぐには教えず、学習意欲を高める役に徹していた。⇚ 師匠が入門後すぐに教えるようなことをしないことや、秘術は隠すといったこと
現在は教える側が積極的過ぎ、詰め込み教育が意欲を削ぐ結果となっている。
※これは勉強時の効率化ですぐに勉強を始めるのではなく、その知識・技術の価値を知り、意味を考えてから始めたほうが身につきやすい、という事の根拠となります。
朝飯前
朝飯前 = 朝の食事をする前
言い換えれば、そんなことは朝飯前だ = 朝食前にもできるほど、簡単だ
となる。
つまり、簡単なことだから朝飯前ではなく、朝の食事の前にするために、本来は決して簡単ではないことも容易に片付けることができる、朝の頭はそれだけ効率がいい。
朝の脳は楽天的で、朝の仕事が自然なのである。
そのため筆者は、朝飯前の状態を伸ばすため昼食の時間に朝食を取ることを心がけているそうだ。
現代の西洋医学的に言えば、食後は血糖値が上昇しインスリンが分泌されるため脳のパフォーマンスが低下してしまう。この事を筆者は直感的に気づき修正をしたのだ。
醗酵
作品を読んでいくと感心するところ、違和感を抱くところが出てくる。これを書き抜き、繰り返し打たれる所があればそれは重要ということになる。
資料に抜き出しまずメモをする、その資料を見返したときに大事な部分を普段持ち歩いているメモ帳やノートに記入し、メタメモを作る。さらに時間を置き見返したときに重要なものをノートにとりメタノートを作る。
この作業が知識の醗酵でこれにちょっとしたアイディア、ヒントを付け加えることも大切。
寝させる
思考の整理法として寝させるほど大切なことはない、思考を生み出すのにも、寝させるのが必須である。余計なものはときの流れに現れて風化していく、努力してもどうにもならないこともあり、そういったことには時間をかけるしか手がないのである。
カクテル
テーマは一つでは多すぎる、一つだけだと見つめた鍋のようになり、これがうまくいかないと跡がなくなる。
多くのテーマを持ち、テーマ同志を競争させ、代わりがあると考えたほうが気が楽である。
エディターシップ
独立していた表現が、より大きな全体の一分となると性格が変わる。
頭の中のカクテルを作るには自分自身がどれくらい独創的であるかをさして問題ではなく、持っている知識をいかなる組み合わせで並べるかが大事である。
「詩とは最も良き語を最も良き順序においたものである」
セレンディピティ
本来の目的から脱線し全く今まで感じなかったものへ関心を抱くなど、一度も考え及ばなかった問題が思いつく。
忘却
忘れることも勉強のうちで、そのために異質なものに接近することが良い。
勉強家が社会で活躍できない例も多い。
その解決として、とにかく書くこと、話すこと。
この本のタイトルで思考の整理学としてこの部分が一番肝になる話で、知識を増やすことが勉強じゃない無駄なものは削りよりまとめていく作業が大切である。
知的な会話とは過去形でものを言わず、「ではなかろうか」「・・と考えられる」を用いれば創造的なことが生まれやすい。
同じ専門同志の会話は否定が生まれやすく面白くない。⇚ 現代でブレイン・ストーミングが重要視される理由だろう
新しい思考を生み出すのにインブリーディングは好ましくない。
まとめ
これからのコンピュータとの共存社会ではグライダー教育から飛行機教育へ、その新たなアイディアの生み出し方は思考が独創的である必要ではなく知識の組み合わせ、さらにその知識は3回に及ぶメタノートによって生み出すことができる。
普段の勉強方法から考え方まで一掃されるようなとても興味深い本だった。